1996年11月4日(月)晴れ後曇り

 数少ない男の子の生徒の中のひとりTくん、今日は、彼のプライドが高いことに驚かされた。
 Tくんはお稽古をはじめて、そろそろ1年になる幼稚園の年中さん、バイエルの20番あたりを弾いている。手が小さくて、和音がなかなかうまく押さえられずに苦労していたけれど、最近は3音の和音もバッチリ弾けるようになってきた。

 今日は、前の時間に来ているHちゃんと一緒に、音当てゲームをすることになった。・・・音当てゲームというのは、私がピアノで弾いた通りを聞き取って、電子オルガンで真似して弾くゲーム、子供達は電子オルガンを触るのが、大好きらしく、音当てゲームはみんな喜んでやる。
 いつもは「ドレミ」から始めるが、たまには、と思って「ド#ドレ」と弾いてみた。Hちゃんは、ちゃんと「ド#ドレ」を弾いた。Tくんは、「ドレミ」と弾いて、すぐに間違ったことに気づくと、とたんに機嫌が悪くなった。鍵盤を面白くなさそうにつついているが、「ド#ドレ」がわからない様子。得意げに「ド#ドレ」を弾くHちゃん・・・
まずいなぁ、と思い「ねぇ、Tくん、Hちゃんのお指を見て真似してごらん。」と言う
と、「嫌だ!」と突っぱねられてしまった。お友達に教えてもらうのは、彼のプライドが許さないらしい。・・・しばらく悩んだ末に、「黒い鍵盤が入ってるよ。」のヒントで、「ド#ドレ」にたどり着き、その後の音取りは無事に二人とも出来たけれど、今日のレッスン中、ずっとTくんは不機嫌だった。
 年中さんといっても、ちゃんとプライドはあるんだよね、ごめんね、Tくん・・・子供に対する言い方って、難しいよな、と思った出来事だった。
  
今日の練習メニュー
  ハノン、バッハのパルティータ1番とブラームスの連弾ハンガリー舞曲